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愛しいキャラ達






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こちらは主に、二次創作置き場として細々と更新しています。
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Skin By TABLE ENOCH
気ままに創作したSSなど妄想の産物を置いています。 内容は攻殻バト素寄りなど。 同人的意味合い・カップリング色・ちょい大人表現を含ませた内容が散乱しているので、理解ある方のみ閲覧願います。
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Treasure Room 2006.12.24 00:00

お笑い度……:☆☆
シリアス度…:☆☆☆☆
ラブラブ度…:☆☆☆☆
ほのぼの度…:☆☆☆☆


イノセンスその後のお話。ワンコさん目線でのお話です
過去に作ってパソコンに埋もれていたSSをちょっと手直ししてみました。
いつもと違い、ちょっと真面目っぽい?真面目にやるときはやりますよ??きっと。
そして、クリスマスSSとは、あまりに程遠い内容・・・
というわけで、笑いを求める人には向かないSSですがどうぞ









--------------------------------------------------------------------------------


窓辺から差し込む夕日が、どんどん少なくなってきました。
あと少ししたら、決まった時間に玄関のドアの鍵が開いて、僕のご主人が帰ってくるのです・・・






最近のご主人は、とても明るくなってきた気がします。
ご主人の毎日の日課は、家に帰ってきて、僕にご飯を用意した後に、机に置かれた「砂時計」を眺める事が加わりました。
砂時計を眺めている時のご主人は、少し悲しそうだけど、とても幸せそうな不思議な顔をしているのです・・・







その砂時計を見るようになったのは、僕が外の人に預けられてから数日過ぎた後です。
僕を預かってくれたその人は、ご主人と同じお仕事の同僚の家族、と聞きました。
初めてのお泊りで、いつもと違う風景といつもと違う人たちに囲まれて、なんだか落ち着かなく家中をグルグルしてしまいました。



しばらくして、ご主人が迎えに来てくれました。
久しぶりに見るご主人に、僕はただ嬉しさでいっぱいでしたが、今思えばご主人も今まで見たこと無いぐらい幸せそうな顔をしていました。




それからも、ご主人は朝出かけて夜は僕のご飯を抱えて帰ってくる、そんないつもと同じ日常を送っていました。




ある日、いつものように昼寝をしていると、ドアの鍵が開く音がしました。
僕は反射的にご主人だと思い玄関まで駆けつけると、そこにはご主人の姿はありませんでした。
代わりに、女の人が立っていたのです。



女の人というより、女の子って言った方が、合っているのかもしれません。
黒いワンピースを着たその女の子を、僕は以前見た事があります。

ずっと前、ご主人が連れてきた子です。
ぐったりしている女の子を、ご主人が椅子に座らせ、その向かいに座りじっと女の子を見ていました。
その様子を、僕は遠くから見ていたけど、ご主人のその目には愛情のような優しい色が浮かんでいました。

この事についてご主人は何も言わないけど、きっとご主人はこの女の子がとても好きなんだと思います。


で、その女の子は、今駆け寄ってきた僕を見ると、微笑みました。
「お久しぶりね」
そう言うと、女の子はしゃがみ込み、僕の頭を撫でてくれました。

きっとご主人に会いに来たのかもしれません。
でも、あいにくお仕事に行っているので会うことが出来ません。

女の子は家に上がると、家のあちこちにあるご主人の物に触れていました。
その仕草には愛しげな色が漂っていて・・・



やがて、ソファ横の小さなテーブルに来ると、女の子は持ってきた砂時計を置きました。
その砂時計は、すべて透明なガラスで出来ていて上下に羽根と星が描かれている、とても綺麗な置物です。



それから女の子は、後から付いてきた僕を抱きしめると
「また来るわね」
と言って玄関へを行ってしまいました。

今度、夜に来たらご主人に会えるよ・・・と、僕は伝えたかったのけれど。





夜になり、ご主人が帰ってきました。
僕は、あの女の子の事を言いたくてしきりに訴えたのだけど、どうも僕がお腹を空かしているとしか思ってくれません・・・

しかしご主人は、そのテーブルに置かれた砂時計を見ると、少しビックリしたような顔をしました。
その砂時計を持ち上げ上下にしたり振ってみたりして、やがて何かを発見したらしく、しばらく砂時計を眺めていました。
「なんだ・・・あいつ来たのか・・・?」

僕に問いかけたのか、自問しているのかわからないけど、とにかくご主人がわかってくれたようで良かったです。

そして、少しだけど嬉しそうな顔で、その砂時計を眺めていました。






次の日も、お昼過ぎに女の子がやってきました。
女の子は、玄関まで迎えに来た僕を撫でてから、砂時計を置かれたテーブルに来ました。
昨日、女の子が砂時計を置いた時は羽根の絵を下にしていたけど、夜にご主人が星の絵を下にして置いたので、昨日とは逆になっています。
女の子はその事に気が付くと、微笑んで、また羽根の絵を下にして置きました。


そして、夜はご主人が砂時計をひっくり返し、僕を抱えながら静かに砂時計を見ていました。






それ以降、お昼過ぎになると女の子が遊びに来るので、僕はいつの間にかその時間に玄関の前で楽しみにしながら待っていました。
玄関を開けて入ってきた女の子が僕を見ると、嬉しそうに抱きしめてくれるから、僕はこの時間がとても好きです。
それから僕と一緒に部屋の中を見たり、遊んだりしながら過ごしました。

そして僕の頭を撫でながら、女の子は昔話をよくしてくれました。
それは、女の子がご主人と一緒にお仕事をしていた頃のお話で、お仕事で遭った事や、女の子が好きだった水に潜るお話や、ご主人と一緒にドライブに行ったお話や・・・
その時の女の子は、とても懐かしそうな寂しそうな、でも暖かい目をしていました。

必ず帰るときは砂時計をひっくり返して、僕にキスをして帰っていくのです。
女の子が去って行った後も、砂時計の中の砂は静かに落ちていました。




こんな日々がしばらく続くのに、未だにご主人と女の子が会うことはありません。
2人が再会したら、きっととても幸せなのにと、僕はいつか2人が会える事を願っていたけど、そのうち会わなくても2人は幸せそうである事に気が付きました。
ひっくり返された砂時計、その砂時計はとても優しく、まるでご主人と女の子の間を静かに埋めていくようでした。
僕と一緒にいる時、2人とも同じように優しい顔をするのです。
2人を繋ぐもの、今はこの砂時計と僕なのかもしれません。





でも、時々女の子がキッチンの、いつもご主人が僕のご飯を作ってくれる場所をしばらく見ると、僕に振り返り少し悲しそうな顔をして抱きしめます。
女の子が悲しそうな顔をすると、僕もとても悲しくなり、つい悲しい声を上げます。








女の子が家に遊びに来るようになってからしばらくしたある日のこと

いつもの様に一緒に遊んだ後、砂時計をひっくり返し、僕に話しかけてきました。

「明日からしばらくお仕事で、遊びに来れないの。でも…、もしかしたら……」
僕は、その後言葉が続かなく少し悲しそうにしている女の子を見て、顔をペロペロ舐めました。
すると女の子は僕を抱きしめ、しばらく動きませんでした。
女の子の後ろに置かれた砂時計は、静かに砂を落とし続けていました。
砂も全部落ちきり、しばらくして女の子は僕から離れ、静かに去って行きました。




その夜、ご主人がいつもの様に、砂時計をひっくり返すと何かを見つけた様に1点を見ていました。
そしてソファーに腰をかけ、僕を膝の上に置き、僕の頭をなでました。
「お前もしばらくあいつに会えないんだな…。いや、もしかしたら今日が最後、かもしれない…のかな・・・」

ご主人は少し寂しそうに僕の頭を撫でたり、顔をいじくったりしながら、遠くの方を見ていました。


そんなご主人の様子を見て、なんとなく僕は思いました。
もしかしたらあの女の子はもう遠い所へ行ってしまい、もうご主人や僕と会えなくなってしまうのだと。
そう思うと僕も寂しくなり、ご主人に擦り寄り、ご主人の顔もペロペロ舐めました。
今ではご主人と同じくらい大好きな女の子にもう会えない…、僕の中がしぼんでしまったような、とても辛い気持ちです。








女の子が僕に言った「遊びに来れないの…」

女の子は「その事」を知っていました、ご主人も「その事」を知っていました。

2人が知っていることを、僕は知っていました。

でも、

僕は「その事」に気づかないふりをして、僕の事も気づかないふりをして・・・、2人を追いかけて今日まで来たのです。

















そう、



僕の体はもうすぐ止まってしまうって事を










僕の体はだいぶ前から、いう事が聞かなくなってきていました。

ご主人は僕の事を思って、毎日体に優しいご飯にお薬を混ぜて食べさせてくれたけど、ここ数日は家の中を歩くだけで、とても辛い状態でした。
それでも僕は、大好きなご主人や女の子が迎えてくれると嬉しく駆け寄って行きました。
ご主人や女の子の幸せそうな顔を見ると、それだけで体の痛みが無くなっていく気がしていたのです。
2人がここにいる時、この家は僕の幸せな空間になり、砂時計のように優しく時を刻んでいきました…






ちょっと前まで、女の子が来る前までは
僕が止まってしまったら、ご主人はきっと1人ぼっちで悲しんでしまうと思い、体が痛いのを堪えて必死で生きてきました。
僕は、僕が止まってしまうのが、とても怖かったのです。



でもね。

ご主人がもう1人で悲しむ事は無いってわかったら、生きるのが何だかとても楽になりました。
ゆっくりと止まりつつあるこの体を、ゆっくりと受け入れるようになりました。





今、僕は、ほとんど動かなくなった体をご主人に預け、あの砂時計を見ています。
ずっと前に、砂を落とし終わってからそのままの砂時計。
ご主人も僕も、あの女の子がここに来て砂時計をひっくり返す事を待ってます。

ここ数日は、ご主人はお仕事に行かず、ずっと僕の面倒を見てくれています。
こうしていつもご主人と一緒でとても嬉しいけど、あんまりお仕事をお休みをしたら、仕事場にいたあのヒゲの人に怒られるんじゃないかと心配です…




でも今日こそ、あの女の子が来る気がします。
今はご主人もいるので、久しぶりに2人は再会出来ると思うのです。
僕の背中を優しく撫でてくれるご主人の手が、とても心地良く、まるで陽だまりのよう。



この幸せな宝の空間の中、僕はゆっくり目を閉じました。




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Comments


感動! クロマ URL 【2006.12.24 22:39】 EDIT
イノセンスの大人な世界観にピッタリのSS、楽しませて頂きました。
GISや、イノセンスでの細かな設定が反映されていて、情景が想像しやすかったです。

少佐も「女の子」のような可愛いことをするんだなと微笑ましく思いました。
それと、ガブもそういえば結構としなんだよな…と思い返しました。

「僕が止まってしまう」という表現も好きです。
イノセンスの中で、バセットハウンドのオルゴールがあったのでその機械仕掛けの活動と、生命の命の活動、これを平行させ考えるところがありましたよ。


ありがとうございます~ あくる 【2006.12.26 01:34】 EDIT
☆クロマさん
感想ありがとうございます。

おとぎ話の様な感じで、人間と違う目線で書いたらどーなるかな?と試しに書いたものです。
ホントはもっと内容長くしようと放置・・・、そして現在に至る、そんなSSです。
実際イノセンスで、ガブのお食事を作る風景で、クスリの様な栄養剤の様なものを入れていたのを見て、今回のお話が浮かびました。
実際、ガブの歳っていくつなんでしょうね~?

>バセットハウンドのオルゴール
はっ!?そういえば・・・(今気が付いた人)
ワンコの概念で「死ぬ」より「止まる」って方がシックリくるかなー?と思いつきで書いてしまいました。
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